March 13, 2008
人喰い
或る日の事。私は、癒しを求めてロビンソン百貨店の上部の階にいた。
ヒーリングの曲やら、良い匂いの漂う中、私の目には とんでもないものが飛び込んできたのだ。
広い間口に大きな水槽があり、裸足を漬ける 女が一人。
その耳に囁くは 謎の白衣の男。
呪文をかけられ術に嵌まった女は恍惚のなか、
水槽に足を投げ出す。
その足には、何千という蠢(ウゴメ)く黒い虫たち。
よくよく見ると 小魚の群れで、控えめに小さな口で、
突くように、女の足に喰らい付いている。
いかにも気持ち良さげ。
とことん トランス状態におちた女の耳に、唄うように囁く呪術師。
が、白衣が魚達に命令をした途端、今まで温厚だった奴らが狂気する。
目は金色に輝き、控えめだった口元は大きく牙をむき出す。
相変わらず、気持ち良き女は、水槽が真っ赤に染まっても夢の瞳を宙に向けていた。
おお、怖い・・・
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