July 10, 2006
亀蔵日誌
あんた、そんなに慌ててどうしたの?と、竹屋の婆。おじさんお昼? ああ、あの人さっき、桜の枝をはらってて落っこっちまってね。ええっ! 腰を打ったようだよ。今さっき帰ったとこ。 ちづるは庭に出てみた。天を突くように伸びた桜の根元には、ばっさり切られた枝が散らばり鋸が投げ出されたままになっていた。亀蔵の落ちたらしい痕跡 地面の穴などはもちろんなかった。亀蔵は、本当に気持ちよく仕事をしていた。生い茂った枝の隙間から空が青く嬉しかった。ぎらぎらの太陽もかかって来いと思った。 そうしたら、本当にかかって来られた。木漏れ日が、あのレーザー光線のように彼を射落とした。
落ちながら、彼は願った。どうか『わしの顔だけは傷つきませんように!』 もともと運動神経の良い男。願いは叶ったが、腰をしたたかに打ちつけた。
そうして今、彼は病院のベッドの上にいる。枕元には大事そうに『日焼け止めクリーム』が鎮座してあった。つづく
●6月19日、23日、24日、26日、7月4日と書いてきたが、自分でも何を書いたか忘れてしまいそうでいつでもすぐに読めるようメモる。実際に亀蔵の変化が起きるのは9月に入ってのことであろう。乞うご期待。私も期待している。
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