亀蔵日誌

　亀蔵は、漆黒の闇に踏み出した。目を瞑っても何歩進めば何処に辿り着くか覚えていた。まず、自分を振り落とした　あの桜の樹に訊ねたかった。　足袋を履いた足元は実に静かに、虫の音を途絶えさこともしない。　左手を壁に這わせながら一歩一歩進んでいく。
　目標まで約１５メートルほどか。　体中の神経を集中させ闇を睨んだつもりだが、蜘蛛の巣の真ん中に顔を突っ込んでしまった。亀蔵は、蜘蛛が大嫌いであった。
　わしの顔に何をする　とばかりに闇雲に両手を振り回したが、なにせ腰は本調子ではない。　バランスをくずした足は、不用意になって、思い切り落とした先に金属の冷たいものを感じた。が、時すでに遅し。
　ちづるがしまい忘れた鍬が、刃先を地面から斜め３０度程にあげて立てかけてあったのだ。
　鍬の柄は、亀蔵の左側頭部を強（シタタ）かに打ち付けた。　目から出た火花で、辺りが見えるかと思うほど激しい痛みを感じた。鍬の存在を知らない亀蔵は、もうパニックである。声にならない声を必死に堪えながら、桜に向かって走った。
　亀蔵落ち着け、トラップはまだまだあるぞ。

がんちゃん　おめでとう！

　がんちゃん、おめでとうにかんしては、いくちんに先を越されましたね。ケーキには、ちゃんと年齢のままの蝋燭を立てたいです。１００になったら１００本だ。
　最近、数字をそのまんま蝋燭にしたものあり。１本１００円くらいだよ。
　ままとしては、一人のお客様をエコ贔屓したくないので、でも、しかし、可愛い写真だからご披露いたします。
　なんたって、この鍛えられた腕と、クラリネットとピアノで遊ぶ腕の違いをみておくんなさい。
きのう、なんとなく地面をみつめたら、去年の秋、私を苦しめた『ぎんなん』が、二世を誕生させていた。
●誕生日シリーズ第２弾！
　　　あなたの毒は、未だ残っているようで、なんとなく腕がきしむの。ステロイド　あんなに続けて飲んだらムーンフェイスになるなんて、お医者は言わなかったわ。もう、にどと　あなたを素手で触らない。危険すぎるのよ。
　まだ小さいあなたを『盆栽の宇宙』に閉じ込められないかしら。どなたか、しない？銀杏の盆栽