June 24, 2006

亀蔵日誌

 たまたま ちづるの左手首には生ゴムが一本はまっていた。ちづるは、手首の内側部分を引っ張って放した。バッチンと威勢よく軟らかい皮膚を打ちつけた。ものすごく痛い。数秒後には綺麗な色にミミズばれができた。
亀蔵も、花鋏をパッチンとならした。 何本も何十本もばっちんバッチン思いっきり引っ張って打ち付けられる痛みを思い出すように、かれは、恍惚とはさみを鳴らし続けた。
 姐さん、ものすごく痛いでしょ。翌日は腫れ上がります。血糊がガーゼにくっつくし腫れが引くまで包帯ぐるぐる巻き。直りかけ、痒くとも掻かないように三日間は仮面のお世話になります。
 紫外線は、いけないんで、それからは日焼け止めクリームを塗ります。最初の手術から半年で見る見る白くなるそうです。せっかくですからね、一番高いクリームにしました。あれは変に白塗りにならないから自然で誰にもわかりませんよ。
 彼は懐から鏡とそれをひょいと取り出して、痣の部分に丁寧にぬりだした。
 ちづるの手首には一本の桃色の線がなかなか消えずに残っている。つづく