December 19, 2008

プレゼント

 わたしは、ハセコのプレゼントを何にしようか迷っていた。

 とりあえず、通りで見つけた花屋に入った。 そんなに、種類も無く、たいした店ではないなと見渡すと、 ラナンキュラスが 可憐な花びらを 微かな部屋の対流の風に震わせているのを見つけた。

 それを、包んでもらい店をでた。 すると、ちょうど良く、ハセコが小路の角を曲がって現れた。 
 「 プレゼント フォーユー!」  
 「まま、いいですよ。」 ハセコの手には、白い小菊の花束が握られていたが、どこからか分けてもらったのか、萎びた感じが貧相で可哀想になった。

 「お母さんとこに行くんでしょ。持っておいき。」
ハセコの表情はキラキラと輝きだした。 彼女の、こけしの様に細い首を ちょこんとかしげた姿は、小鳥のようになんとも可愛らしかった。
 ありがとうございますと、いつもの彼女のペースで去っていく細い後ろ姿を見送りながら、 なんだか無性に家に帰りたくなった。

 夢の中では、何度もあの家に帰ろうとしている。
 あの頃飼っていた小鳥が死んで、ベランダの箱庭をお墓にして、出たのだが、あの子達が呼んでいるのだろうか。
 私は、夢の家路を 今朝も あそこに急いでいた。