August 14, 2006
亀蔵日誌
草木も眠る丑三つ時。亀蔵は、病院のベッドに そおーっと腰掛けてみた。折れた腰骨もどうにかくっついて最近はリハビリに精を出している。 毎日うだるような暑さが続いていたので、やっと吹き込んだ冷たい夜風が彼を生き返らせた。そうだ、外を歩いてみよう。寝巻きを脱ぎ捨ていつもの夜半の外出用の黒装束に着替えた。なんでそこまでするのか亀蔵。 彼はやはり気になっていた。 向かった先は 竹屋の家。明け方の回診までには戻ろうと思い、まずすぐ病院の裏にある自宅の庭先に止めた車に乗り込んだ。愛車はプリウス。ハイブリットでサイレントなそれに彼は静香と名づけていた。静香はじつに静かに発進した。
まだ、腰は本物ではないが調子が良い。30分ほどして、到着した。近くの川沿いの小道に静香を停め、腰を気遣いながら竹屋の玄関先に立った。コオロギが鳴いている。懐かしい匂いだ。虫以外は全ての生き物が眠っていた。
明け方前。その30分で庭を確認しよう。向かって左には自分の仕掛けた竹のトラップがある。まだ暗いから右から入ろう。竹屋の家の周りは全て知っていた。
しかし、ここからが彼の悪夢の始まりだったのだ。続く